にほんブログ村個人の勝手な感想です。勝手な解釈で間違っているかもしれませんが、ご容赦を。
公開年 2023年
まあ、キムタクと綾瀬はるかの恋愛物語。
史実や合戦などはどうでもよく、無理やり面識のない者同士で結ばされた夫婦が、順番が逆だが結婚してから恋愛をしてお互いに惹かれていくお話。
尾張の大うつけと評される信長。確かに映画の前半は、帰蝶にいつもリードされていて全くかなわない。本当のうつけだった。
だが、桶狭間の危機を信長は帰蝶に与えられたヒントにより乗り越え、そこから信長は徐々に覚醒してレジェンドになっていく。帰蝶にバタフライとして導かれながら。
木下藤吉郎って誰かと思ったけど、秀吉のことか。今回の信長は藤吉郎、猿、木下、秀吉などと呼び方をコロコロ変えている。ちょっと違和感があった。どうせなら呼び方を統一してほしかった。愛着があまりないような。まあ、それ以前に二人が絡むシーンが少なかった。
史実ではハリネズミか。
映画終盤のワンシーンで、徳川家康は、見事じゃと、信長に蹴飛ばされた光秀にそう声をかけている。
最初は何のことか理解できなかったが、その後の信長と光秀のやり取りでなるほどと思った。
光秀自ら信長に提案して、わざと皆の前で蹴飛ばされたのだ。
魔王としての信長を表現するために。
家康はそんな光秀の狙いをしっかりと見抜いていた。お前の考えていることなぞすべてお見通しじゃ。だがそんな猿芝居にわしは騙されん。平然と食事を続ける家康。やはり侮れない狸おやじ。
家康の出番がそこでおしまいなのがもったいない。
エンドロールで斎藤工だと知って(+_+)したのは私だけか。
明智光秀が本能寺の変を仕掛ける動機が、今までにない斬新なものだった。
今までの自分が見てきた光秀は、信長を人ではなく魔王だから憎んで殺してきたのに。まさか魔王でなくなり、人になってしまったから殺すとは。
確かに信長は光秀に自ら提案されたからとはいえ、光秀を蹴ったあとで彼を気遣い、謝罪の言葉を口にしている。そのことが逆に光秀には許せなかったのか。
今までの逆パターンか。
出典元『アカギ』福本伸行 近代麻雀 株式会社竹書房 -TAKESHOBO-
漫画アカギの鷲巣が理不尽だったのが、耄碌して優しくなったのを、部下の一人が失望するみたいなあれか。
人ではなく、魔王で理不尽で狂気じみていて残虐な上司を、部下は好んで尊敬していたのだ。
だが、今回は信長と光秀ではなく、信長と帰蝶の物語。光秀の出番は少ないと文句を書いているレビューもあるが仕方ない。
信長が、最後の場面で自害する前につぶやく一言。その言葉を聞くのを帰蝶はずっと待っていたに違いないだろう。
最後の最後で信長は帰蝶に告白したのだ。
だが、そのおそすぎた告白が帰蝶に届くことは無かった。たとえ結婚していようと、告白をしてから恋愛は成り立つ。
厳しすぎる見方かもしれないが、信長と帰蝶の恋愛は成就しなかったのでは。
信長の妄想だったが、本能寺から無事に逃げ、信長と帰蝶が異国船の船に乗り、そこで笑顔でダンスをしたりするなどタイタニックみたいなシーンがある。
その妄想が信長と帰蝶が、真に結ばれたとしてのハッピーエンド的なエンディングだった。
だが実際は...。
信長は帰蝶によりレジェンドとなるが、同時に冷酷な魔王になってしまった。
そこで帰蝶は、愛情や生きる希望を魔王に与えて本来の信長に戻すことができたのだが...。
バタフライはレジェンドに、愛と死の両方をもたらしたのだった。
